先日、おかっぱ&虎之介の「高校野球観戦」のエピソードをアップいたしましたら、読者の方から「数年前のラジオで同じ話題の放送があった」とコメントをいただきました。へぇ、と思ってPodcastを拝聴いたしましたらば、なるほど、確かに同じ試合についての話題でございました(ちょっと嬉しかった)。
放送が面白かったので、ほかの回もいくつか聴いてみましたら、やはり数年前の放送で『明治時代の人生相談(山田 邦紀著 幻冬舎刊)』という本を紹介しておりまして、明治に新聞や雑誌などに投稿された悩み相談と回答を一冊にまとめたという内容に、ちょっと興味がわいたワタクシは、
文庫になっていて値段も手頃なので、ポチッと買ってしまったのでございました。
読んでみますと、女学生から「縁談があるけれど自分は手に職をつけて自立して生きていきたいのですが…」という投稿があったり(現代でもありそう)、
お母さんから「子どもの成績がまったくあがりません」という相談があったり(現代でも全然ありそう)、
「お歯黒の慣習を守りたいけれど、最近ではなかなかお歯黒を売っていない!」という、コンサバ少女からの叫びがあったり(これは現代ではありえない)で、大変面白く読ませていただきました。
相談する側も回答する側も、「どこかからもらった縁談で、相手の性格などをそんなによく知らないで結婚する」ことに、なんの問題意識もないカンジが全体を通していたしました。結婚に恋愛が「導入」されたのなんて、ここ数十年のことなんだろうなぁと、思ったワタクシでございました。
もちろん、自分が本当に好きになった人と自由に結婚することはスバラシイ以外なにものでもないのでございますが、恋愛を通過しないと結婚できない(パートナーが持てない)ことに「むずかしさ」を感じる人もいるのだろうなぁと。
ハードルの高さをどう設定していいのか悩む人や、婚活で苦労する人などをメディアで見るたび、「恋愛結婚」以外の選択肢や、そんなに好きで結婚したわけでもない人と愛情を育ててきた先人の知恵が、もっとフィーチャーされてもいいかなと思ったワタクシだったのでございました。
そんなことを考えつつ読み進めるうち、ある投稿に心揺れたワタクシ…。
それは明治末期の、ある男性からの投稿でございました。
雑誌を介して文通していた相手が女性になりすましていて、会ってみたら男性だった。逃げるように帰ったが、そのあとも手紙が来て困っている…というものでございました。
回答者は「一切返事を出さず、もう絶対会ってはいけません」と回答していらっしゃいました。たしかに正解です。ワタクシが回答者だったら、同じ回答をしていたことでございましょう。
女になりすました彼は同性愛者だったのかもしれないし、性同一性障がいだったのかもしれません。いずれにしても、女性になりすまして男性をおびきよせるなんてことは、ほめられはしません。
しかし、「稚児之草子」は鎌倉時代…。
「男色大鑑」は江戸時代…。
そのあと、記録もほとんど残らないほど同性愛がタブー視された時代が続いて、ゲイ雑誌が日本で創刊されたのは昭和の後半。明治時代を生きた同性愛者(性同一性障がい者)たちが、忍びがたきを忍んで暮らしていたことは、想像に難くありません。
女性になりすました彼は、どうしても、たった一度の思い出でもいいから欲しくて、イチかバチかの賭けに出たのかもしれません。
もし、そうなのだとしたら…
女性になりすました彼(彼女?)の行いは決して弁護できないけれども、切ない想いだけは、100年後を生きるワタクシがちゃんと受信しましたよと言ってあげたいと思ったのでございました。
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「私みたいな稀なる美貌の持ち主は、ひとりの男性のものになるのはもったいないと思いますが、どうしたら世間にそれを認めさせられるでしょうか」という投稿もあって、いちばんウケた。
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放送が面白かったので、ほかの回もいくつか聴いてみましたら、やはり数年前の放送で『明治時代の人生相談(山田 邦紀著 幻冬舎刊)』という本を紹介しておりまして、明治に新聞や雑誌などに投稿された悩み相談と回答を一冊にまとめたという内容に、ちょっと興味がわいたワタクシは、
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読んでみますと、女学生から「縁談があるけれど自分は手に職をつけて自立して生きていきたいのですが…」という投稿があったり(現代でもありそう)、
お母さんから「子どもの成績がまったくあがりません」という相談があったり(現代でも全然ありそう)、
「お歯黒の慣習を守りたいけれど、最近ではなかなかお歯黒を売っていない!」という、コンサバ少女からの叫びがあったり(これは現代ではありえない)で、大変面白く読ませていただきました。
相談する側も回答する側も、「どこかからもらった縁談で、相手の性格などをそんなによく知らないで結婚する」ことに、なんの問題意識もないカンジが全体を通していたしました。結婚に恋愛が「導入」されたのなんて、ここ数十年のことなんだろうなぁと、思ったワタクシでございました。
もちろん、自分が本当に好きになった人と自由に結婚することはスバラシイ以外なにものでもないのでございますが、恋愛を通過しないと結婚できない(パートナーが持てない)ことに「むずかしさ」を感じる人もいるのだろうなぁと。
ハードルの高さをどう設定していいのか悩む人や、婚活で苦労する人などをメディアで見るたび、「恋愛結婚」以外の選択肢や、そんなに好きで結婚したわけでもない人と愛情を育ててきた先人の知恵が、もっとフィーチャーされてもいいかなと思ったワタクシだったのでございました。
そんなことを考えつつ読み進めるうち、ある投稿に心揺れたワタクシ…。
それは明治末期の、ある男性からの投稿でございました。
雑誌を介して文通していた相手が女性になりすましていて、会ってみたら男性だった。逃げるように帰ったが、そのあとも手紙が来て困っている…というものでございました。
回答者は「一切返事を出さず、もう絶対会ってはいけません」と回答していらっしゃいました。たしかに正解です。ワタクシが回答者だったら、同じ回答をしていたことでございましょう。
女になりすました彼は同性愛者だったのかもしれないし、性同一性障がいだったのかもしれません。いずれにしても、女性になりすまして男性をおびきよせるなんてことは、ほめられはしません。
しかし、「稚児之草子」は鎌倉時代…。
「男色大鑑」は江戸時代…。
そのあと、記録もほとんど残らないほど同性愛がタブー視された時代が続いて、ゲイ雑誌が日本で創刊されたのは昭和の後半。明治時代を生きた同性愛者(性同一性障がい者)たちが、忍びがたきを忍んで暮らしていたことは、想像に難くありません。
女性になりすました彼は、どうしても、たった一度の思い出でもいいから欲しくて、イチかバチかの賭けに出たのかもしれません。
もし、そうなのだとしたら…
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コメント
コメント一覧 (26)
私、西鶴の、男色についての本を、色々と普通に読んでましたし、落語にも結構男色ネタは出てくるし、平賀源内なんかも陰間茶屋通いをしており(遊郭にも行っていた)、バイだったと聞いてます。
あと、森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」を読んだ時は、女道楽(軟派)より、男色(硬派)の方が幅を利かせてたんだな(主に九州のほうでは、伝統的だったように書かれています)と思いましたし、確か、武者小路実篤もそんな話を幾つか書いてた記憶が。
大正の女学生の間ではS(エス「御姉様崇拝」)が流行り、私は、その流行の先駆だった女性同性愛作家の吉屋信子ファンです。
あと、フ女子の方々にお薦めしてみたいのが、堀達雄の「燃ゆる頬」(これ、うたさんご存じですか?美しい短編で、うたさんお気に入るかも)谷崎潤一郎の「卍」とか、三島由紀夫とか… 印象的だったのが、江戸川乱歩の「孤島の鬼」。私はただの国文学出の本好きで、意識して同性愛の話を研究したわけでもないのに、結構、ザラザラ思い当たります…
だからかな、あんまり日本では「同性愛が表しにくかった」というイメージは、私には、なかったりします。ただ地方などでの偏見は、今もですが大きかったかもしれませんし、ノンケの人によっては、嫌悪感を覚えた人もいたでしょうね…。堀達雄や江戸川乱歩の小説に出てくる、ノンケの男性に恋するゲイたちは、報われず可哀想で、読むと切なくなってしまいます…ビビ2014-05-16 02:51:59返信する
私が読んだのは単行本だからでしょうか。
女になりすましている男と会った「女性」の相談はありました。
解説によると、当時、女性同士の手紙の交換が流行っていたとか。
「女になりすまして油断させておき、東京の女性と知り合いたかったノンケ男」と解釈しましたが・・・。 はんだ 2012-01-02 16:13:32返信する
生きるのが苦しい、厳しい時代での苦肉の策
だったのかもしれませんね。
ノンケである、ということは、
それだけで傲慢なんだろうなぁ…。
うたさんが、しっかりと受信なさったことで、
きっと彼の想いも、ちょっとは報われたんじゃないでしょうか…。
プロフィールの写真、すてきです!
可愛いです♪
半分2011-10-24 11:15:07返信する
同姓ー→同性です。 ミミ 2011-10-24 10:48:59返信する
かっこいいです。海野風2011-10-24 06:33:22返信する
家を存続させることが男子の義務、子を産み育てることが女子の義務だった…
…ふたたび恋愛(個人の選択)なしの結婚が主流になったりしたら、同性愛者にはつらいのではないかな、という気がします…
楽しいお話なのにマジレスすみません。あ、同性でもお見合いOKならいーんですよね♪ あおい 2011-10-24 00:28:44返信する
その内容が「お前の指を、手を、腕を、胸を、頬を、瞼を、舌を、歯を、脚を、愛着した。僕はお前を恋していた」
と書いて!学校の作文として!提出していたそうですが!「教師に内容について注意を受けた覚えは無い」と言ってたそうです。
悩みの相談ではなくて、同姓の恋を作文に書ける時代も、あつたのですね。
氏家幹人さんの本は、驚きがいつぱいでした。 ミミ 2011-10-23 18:48:57返信する
ちがうものですね~。
でも今も昔も
特に大きく悩みは変わっていないんだなぁ
って思いました。
いつの時代でも
同性愛者は必ずいたはずなのに。
差別や偏見は
多数の無意識が
知らない間に人を傷つけている。
あかちゃんの頃は
何も偏見なんてもっていないのにね。nawomy2011-10-23 13:24:33返信する
若めの女性の手による注釈がついてませんでしたか?
解説者が、その注釈の誤りを指摘していたのが記憶に残っています。
「不倫」という語の指す内容についての誤解でしたが……。
世の中は、確かに変わっているのですね。
性別による差別と偏見のない世の中へ!!まうー2011-10-23 11:10:04返信する
悩みは何時の世も同じ
最後の方は今に生きていたら
女優かグラビアかAKB
TOPAZ2011-10-23 10:07:00返信する
今に始まったことではないのなら
きっと、女性同士の関係性の悩みも
あったはず。紹介された本、読んでみます。
女子カップルの悩みを探しに^^しゃべるねこ2011-10-23 08:23:35返信する
本当に現代と それ程変わらないんだなって
思ったのと 昔は違うって勝手に思い込んでた自分を反省しました。
確かに どの時代にも 同性しか愛せない人は
居たんですものね。
なので ワタクシほどの者が・・って人も
居たって間違い~じゃないです。(笑)カレン2011-10-23 08:01:24返信する
私はなんで泣いているんだろうw そよかぜ号 2011-10-23 06:53:26返信する
「ハンカチを買おうと思って入ったお店に君がいて、これを見せてって頼んだとき、2人の手が合ったね。 それから君は小さな紙にメッセージを書いて手渡してきて・・」って感じで、ゲイ同士のハッテンの仕方の根本は世界どこでもどの時代でも同じだったんだな~と思いました。 須磨太 2011-10-23 04:06:45返信する
身の上相談だったかがあります。笑
気になる相談がなくて
流し読みしてたんですけど
読み返してみようかなぁ。
でも明治の方が面白そうです。ねこ2011-10-23 02:27:07返信する
人の悩みって時代に関係ないのかな、とか、てことは、人の幸せも当時と大して違わないものなのかな、とか。
その当時の同性愛者、性同一性障がい者の相談ですが、だまさざるを得なかった方の生き様を知ってしまい、ぐるぐる考えてしまいました。すごい引力です。
人は見知らぬ人にだからこそ相談したい、聞いてもらいたいという気持ち、興味深いです。
Yahoo知恵袋とか、100年後の人が見た感想を聞いてみたい、などと思ったり(笑)。ペロリーヌ2世2011-10-23 01:43:36返信する
近頃、某新聞朝刊の人生相談に、
「部下(本人は部長職)の新入社員に恋心を抱いてしまいました。息子のように愛おしくて、
どうしてもつい構ってしまって、他の社員の目を気にする彼から避けられるようになってしまいました、自分でも(突然同性愛に目覚めたことに)驚いていますが、でもやっぱり彼が好きです、どうすればいいのでしょうか?」(うろ覚えだけど、だいたいこんな感じ)とあり、答えは、
「諦めなさい」でした。
まあ回答者にもよるんだろうけど
さっぱりし過ぎ(?笑)で、そんなもんかあと
思ってしまいました。
相手を本当に大事にするためにはそうしろ、
みたいな感じで。
思いは遂げられなくても、露骨に態度を出すのでなければ、心の中で片思い続けるのは別に
いいんじゃないのかなーなんて
自分は思いましたが。
恋の相手が女性でもやっぱり同じ回答なんで
しょうかね。
まるちゃん 2011-10-23 01:29:35返信する
「好きな人がいて愛されたならそれはきっとしあわせ」「好きな服を着て好きなこと言えたらそれもきっとしあわせ」
というのに共感してたのですが、今日のうたさんを読んで、同じ種類の想いを得ました。
人は、時代や環境いろんな偶然のなかで、自分らしい幸せを精一杯求めるんですよね。愛おしくてなりません。
明治時代のゲイたちが、心からの幸せをひと時でも感じてくれていたらいいな FI 2011-10-23 00:58:39返信する
明治時代であれ人の気持ちはそんなに変わらないものかも。
タイムマシンがあったらその時代の方々と話してみたいです。この世の果て2011-10-23 00:53:44返信する
読むのが楽しみです。♪酒飲み女2011-10-23 00:50:48返信する
うたさんが、ゲストに呼ばれる日を楽しみに
してますー。 yoko0506 2011-10-23 00:49:27返信する
突然、女性になりすました相談に変わって、吹いてしまいました。
あ、でも、その方にしたら真面目な想いだったのでしょうね。
明治からの同性愛といえば、国文学者の折口信夫が有名ですね。弟子の方(加藤守雄)が書いた手記が出ています。加藤さんは同性愛関係は完全に拒否しているんですが(学者としては尊敬している)、折口が本気なだけに、胸の痛む手記でした。 めじろ 2011-10-23 00:25:11返信する